賃貸不動産を買うときの注意点(利回り5%を金利2%で買うという無謀)
賃貸不動産、取得後の資金繰のテーマです。
新築アパート建築の落とし穴
賃貸アパートやマンションを、
銀行からの借入金で1棟を買って、
家賃収入から借入金を返済する、
こういうやり方は広く知られています。
スルガ銀行の問題が起きてから、
全額借入はむずかしくなりましたが、
一部の自己資金を入れて、
賃貸不動産を購入することができます。
借入での不動産投資は合うのでしょうか?
以下の木造アパート1棟で考えてみます。
○ 取得価額・・・10,000万円(1億円)
○ 自己資金・・・・・2,000万円
○ 借入金・・・・・・・8,000万円
○ 借入金利・・・・・・・・・・・・・・・2%
○ 借入期間・・・・・・・・・・・・・22年 木造耐用年数
○ 年間家賃・・・・・・・・・500万円
建物は減価償却ができますので、
取得価額の10,000万円を、
土地と建物に分ける必要があります。
土地と建物の区分については、
契約書に記載がある場合は、
原則として記載金額となります。
ただし、中古物件の場合は、
区分が記載されていないことが多いです。
となると、固定資産税評価額など、
合理的な金額であん分することになります。
土地:建物の比率は、
6:4くらいのケースが多いと思います。
○ 土地部分・・・・・6,000万円
○ 建物部分・・・・・4,000万円
ここまでを整理すると、
○ 新築アパート1億円を、
○ 借入金8,000万円で買って、
○ 金利2%を20年支払って、
○ 家賃を500万円受け取る、
ということになります。
利回りは、1億円の投資に対して、
500万円の家賃で5%になります。
一方で金利は2%ですから、
差引で3%は得するように思えます。
さて、毎年の資金繰りは以下となります。
(1)家賃収入・・・・・・・500万円
(2)固定資産税・・・・・△30万円
(3)減価償却費・・・△182万円
(4)借入金利・・・・・△160万円
(5)管理費等・・・・・・・△30万円
(6)差 引・・・・・・・・・・・98万円
(7)所得税等 ※・・・・△19万円
(8)税引き後・・・・・・・・・79万円
※ 20%として計算
お金はいくら残るでしょうか?
(8)税引き後の79万円と、
経費のうち、お金が出ていかない
(3)減価償却費の182万円で、
合計で261万円となります。
さて、ここから借入金を返します。
8,000万円 ÷ 22年ですから、
363万円が返済額となります。
261万円 - 363万円 = △102万円
これが毎年マイナスとなります。
さらに、
○ 空き室が増えると・・・
○ 金利が上がると・・・
○ 修繕費がかさむと・・・
ということで1億投資(しかも自己資金2000万)していたらよほどしっかり入居率維持しても、1億の土地建物で年間700万以上は稼いでくれないと収支は赤字になりかねないという計算になります。
〇ルガ銀行などの金利は安くても3.5%だったということですから、単純計算で利回り8.5%はないと収支はすぐにマイナスになるということは容易に理解できるかと思います。
(融資期間が耐用年数と同じ22年だったと仮定)
対策としてできることは
1.利回5%ではなく7%の物件を探す
→ +200万円のプラス
2.2%の金利を1%にしてもらう
→ +80万円のプラス
3. 劣化等級2級以上を取得することで融資期間を30年
まで延ばすことができます
8000÷30=267
→ 363-267=96万円のプラス
これらにより、年間収支を△102万円から
200+80+96-102=274万円
にでき多少の金利変動や入居率の変動にも耐えられるだけの安定感を維持できるようになります。
0コメント